ソメヤスズキでは、植物染料を煮出して
草木染めで使う植物染料は、合成染料と比べると色合いは淡く、
素材から製品まで、そしてお客様へ手渡すまでを風通しよく。仕立て・染色・仕上げなど一連の工程を、できる限り顔の見える人たちと協力し、国内でつくっています。すべての製品にオーガニックコットン(無農薬栽培綿)を採用し、人の暮らしや土地を壊さないものづくりを目指します。もの余りの時代に生まれ育った私たちが、わざわざものをつくる意味とはなにか。負荷の少ない素材を選び、植物で色を染め上げ、衣食住にまつわる布製品に仕立てる。私たちは色を染め、ものをつくることで、美しい未来を次の世代へ手渡したいと考えています。
ソメヤスズキは岡山県北の里山、西粟倉村を拠点にものづくりをしています。
流れる川の水は美しく透き通り、移り変わる季節を肌で感じ、厳しい冬を耐えるミツマタの蕾とともに春を待ち望む。自然と人の距離がとても近い、そんな恵まれた環境の中で、ソメヤスズキの製品はつくられています。
不定期で開催している『季節の草木染めワークショップ』では、アトリエ周辺の植物を摘み、その場で煮出して染める特別な体験ができます。ヒノキ染めなど製品の一部には、近隣で育った植物を使っています。今後は、染料植物の栽培や採集にも取り組み、この土地でつくる色を増やしていきたいと思っています。
イメージを覆すような力強い色は、手間と時間を惜しまず染め重ねることで生まれるものです。私たちは草木染めという手法をはじめ、素材や生産工程、背景の環境など、あらゆる角度から、つくる人と使ってくださる人、つくられる土地が健全であることを目指しています。
ただ、なによりも大切にしたいのは美しさや驚き、手にとりたいという衝動。ハッとするような、思い出すような、ワクワクするような、心の琴線にふれるものをつくりたい。健やかなものづくりを軸に、特別な色を重ね、思わず纏いたくなるデザインをお届けします。
ソメヤスズキのものづくりは、いつも色からはじまります。
色を選ぶのではなく、色をつくること。植物を煮出して染め上げる色は美しく、そこには様々な色が混じり合っています。光や空気、季節や土地、その日の気分、その時の自分。見える色も、見たい色も、きっと変わっていくのだと思います。
名前のないこの色が日々を彩り、時とともに移り変わる、やさしい記憶の一部となりますように。